このたび、第55回日本産業・労働・交通眼科学会を開催する運びとなりました。本学会は昭和37年の発足以来、多くの方々のご支援ご協力のもと毎年開催を続けております。長年開催を続けてこられたのも、産業・労働・交通の各分野と眼科学との学際的な研究における交流の場となっているからかと思います。
幅広い分野、テーマを扱う本学会において、今回のキーワードとして挙げさせていただいたのは、「加齢」と「労働環境」です。
高齢化社会と言われて久しいですが、人は年を重ねるごとに視力および色覚について、どのような変化を来すのか、そのような変化が産業に与える影響あるいは産業からのアプローチはできないか、示唆に富む口演が行えればと思います。
また、高年齢者雇用安定法の改正に伴い、かつては定年であった60歳を過ぎた方々も引き続き社会において活躍できる機会が増え、今後ますます高年齢の労働人口が増加する傾向にあります。そのような社会情勢の中、労働環境についても高年齢者への配慮が欠かせなくなってきます。今回はその中でも特に、照明環境についての口演を依頼しております。
さらに、東京女子医科大学眼科の中村かおる先生より「色覚バリアフリーの進め方」について、信州大学工学部電気電子工学科教授の田中清先生より「ディスプレイ表示画像を若年者が見る画像に近づける色補正技術」について、それぞれ特別講演を賜ります。
今年は8年ぶりの名古屋での開催となります。自動車産業を始め、国内初となる小型ジェット旅客機の開発により航空機産業も花開こうとしております。眼科学の総合的・学際的な研究を推進し、広く社会に還元するとともに、社会の発展に寄与することを目的とする本学会は、産業の発展、新産業の創出などとともに、ますますその活動の場を広げ、重要性が高まってくることが期待されます。
今学会が、眼科医療関係者のみならず、広く民間企業、行政、NPOなどとの交流を深め、もって社会の発展に寄与することができる一助となれば幸いです。